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生徒会の構成、各役員の仕事内容

この記事では中学高校の生徒会について説明します。
役員選挙の流れについて知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。

 

生徒会の構成

生徒会と聞くと、生徒会長を筆頭とする少数の役員を想像するかもしれませんが、厳密にいえばその認識は正しくありません。一般に、生徒会とは全校生徒が所属している巨大な自治組織を指します。
生徒会は年に一度、生徒会選挙によって生徒会長を選出します。当選した生徒会長は公募あるいは指名によって副会長、会計、書記、庶務などの役員を集め、これをもって生徒会執行部という組織を作ります。アニメなどでお馴染の生徒会はこの生徒会執行部です。しかし毎回生徒会執行部と言うのも面倒なので、ほとんどの生徒は彼らのことを「生徒会」と呼んでいます。ちなみに会長以外の役職については、会長が指名しなければ一人が兼任することもあります。

生徒会長は直属の組織として生活委員会、美化委員会、図書委員会、体育委員会、保健委員会、その他文化祭実行委員会や体育祭実行委員会などの各種委員会を有しています。各委員会の委員長と副委員長、そして生徒会執行部をまとめて生徒会本部と呼ぶことが多いです。生徒会本部は生徒たちからの不満や要望を吸い上げ、議案を出すのが主な仕事です。

そして生徒会本部から提出された議案について議論をする場が生徒総会です。しかし生徒総会には全校生徒の半数以上の参加が求められるので、そう簡単に臨時招集をかけることができません。そこで多くの学校では、各クラスから選出された一、二名の代表者(室長や委員長と呼ばれる)による生徒評議会(中央委員会、代議員会、生徒集会)という審議機関が設けられています。緊急を要する案件や簡易的な議題に関しては生徒評議会で決をとって認可を与え、重要な案件については生徒評議会の承認を経て生徒総会で提案されることになります。

※ほとんどの学校では以下の組織図どおりですが、一部監査委員会等が設置されている高校もあります。

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 生徒会執行部の仕事内容

生徒会執行部の仕事は多岐に渡りますが、多くの作品で見られるような大量の書類に承認印を押すという風景は、文化祭前を除き現実には存在しません。なぜなら現実の執行部は何の権力も持っていないため、執行部の承認を得なければならないという状況がまずないからです。逆にいうと、会長の一言で校則が変わったり、校舎が増改築されるほどの権力と資金力があればそんな風景も見られるかもしれません。

実際の生徒会執行部の仕事はこのようになっています。

  • 地域のボランティア活動・募金活動に参加
  • 学校行事の企画運営
  • 生徒会費の予算編成・決算書作成・出金管理
  • 評議会、生徒総会への議案検討(定例会議)
  • 各部活動、各委員会から提出された報告書の確認
  • 学外活動時等の報告書作成
  • 生徒会広報活動
  • 備品の管理
  • 学校諸問題の解決(目安箱の設置)
  • 朝のあいさつ運動
  • ベルマークやペットボトルキャップなどの回収
  • 来客時の対応
  • 先生の手伝い
  • その他公約実現に向けた活動、イベントの企画

 

それぞれの仕事の詳細については別記事にて説明する予定です。

 

 生徒会役員の仕事内容

ここでは生徒会役員が役職ごとにどんな仕事をしているのかを説明します。とはいっても、たいていの執行部では手の空いた人が他の人の仕事を手伝うため、役職ごとの垣根はないに等しいです。あくまで建前上はこうなっているということを念頭に置いてお読み下さい。

 

生徒会長

言わずと知れた生徒会のトップです。文化祭や予餞会において全校生徒の前であいさつをしたり、入学式や卒業式で在校生代表として祝辞や送辞を述べたり、生徒総会、評議会での司会進行を務めたりします。何かと人前に立つことが多いので、明るい性格で締めるところはしっかり締められる人が望ましいです。また生徒代表という性質上、教員からも模範的な生徒像であることを求められます。

現実の学校ではあまりありませんが、一般生徒が生徒会室に乗り込んで直談判してきた場合は、その対応もすることになるでしょう。既存の学校行事の他にイベントを企画するなら各関係者に許可を貰いに行くことになりますし、生徒からの要望を実現するために教員に根回しをすることもあります。雑務に追われるというよりは、周囲に仕事を割り振ったり、先方に出向くことが多い対人スキルが必須の役職です。

 

副会長

副会長はその名のとおり生徒会長の代理です。会長が何らかのトラブルで仕事ができない場合は副会長がそれを引き継ぐことになります。また、会長の仕事を手伝ったり、会長の方針が間違っていれば修正したりと、とにかく上のサポートをするのが主な役割です。

多くの作品では完璧超人やクールビューティーがこの職に就いていますが、実際のところこの役職はめちゃくちゃ暇です。そのため、「暇だから後輩の仕事をやっておいたら後輩に頼れる先輩扱いされる」ことが多い美味しいポジションでもあります。ちなみに創作ではあまり見られませんが、現実では副会長は男女二名いることが多いです。これは会長と副会長が同性に偏ることで運営方針が偏ってしまうことを防ぐためです。

 

会計

生徒会役員の中では会長の次に役割がはっきりしています。会計は生徒会費の出金状況を把握し、割り振ったお金が正しく運用されているかをチェックすることが主な仕事です。具体的には、各部や委員会が持ってきた伝票を見て、金銭出納表に「4/20に野球部が備品に1,000円使った」と書いていきます。そして決算期に金銭出納表と実際の残高を照らし合わせ、横領などがなかったかを調べます。要するに家計簿係ですね。

生徒会費は毎年予算案に沿って各団体に配られますが、年度末に残っている分は次年度の生徒会費に充てるために回収します。そのため年度末になるとあらゆる団体が公務員さながらの予算消化に追われ、会計も伝票整理で夜遅くまで仕事をすることになります。帳簿に対して回収したお金が少なければ、その団体は生徒会費を不正使用したということですし、逆に多ければその団体の誰かがポケットマネーを出したことになり、どちらも大問題となります。そのため帳簿と残高が合わなければ役員全員で伝票を探し回り、関係者に確認を取るため走り回ることになります。

その他の仕事としては、予算編成時の意見出し、決算書の作成、各団体との折衝、生徒総会での予算案の説明があります。お金を管理するのでクレームの矢面に立つことが多く、図太さと繊細さの両方が必要になる役職です。

 

書記

 書記の主な仕事は議事録を書くことです。議事録を書いたところで誰かが見るわけでもありませんが(しいて言うなら次年度の役員が見る)、保管する以上字は綺麗であることが求められます。また、生徒会が発行する生徒会誌や生徒会新聞のライティングをしたり、報告書を作成したり、イベントの告知をしたり、公式twitterや公式ブログの更新を担当することもあります。広報活動も行う事務方といった感じですね。

書記は大人しい人がやるイメージを持たれやすいですが、実は次期会長・副会長候補であることが多い影の実力者です。直近にイベントがない普段においては一番忙しい役職かもしれません。

 

庶務

 一番何をやっているのかわからない役職だと思います。それもそのはず、この役職は特に仕事が決まっていません。そのため備品の管理や、部室等で違反がないかの見回り、生徒会誌のコピー、議会のセッティング(机と椅子の配置)などの雑務全般を行います。会社で言えば総務にあたるポジションです。他にも生徒会誌用の写真を撮影したり、他校や企業に連絡を取ったり(渉外)、告知ポスターを張り出したり、ベルマークや意見書を回収したりします。こうして仕事を挙げてみると結構忙しそうですが、実際は副会長と同じくやはり暇です。

 

 

ここでは基本的な役職について述べましたが、学校によっては広報業務が独立していたり、会計監査がいたりすることもあります。

 

生徒会室の実情

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©KNT graphics:矢神ケント

 生徒会室と聞くと応接間のようなスペースを想像する人がいますが、実際は教室の半分くらいの部屋に机とパイプ椅子が並べられた割と質素な部屋です。壁の一面にはホワイトボードや黒板が設置され、それ以外の場所は過去の報告書や資料が並べられた棚が置かれています。棚の上や床下には何が入っているのかよくわからない段ボール。管理が雑なところだと資料でごったがえしている区画があることも多いです。生徒会室の鍵は基本的に生徒会役員が管理しており、部屋自体が職員室からやや離れた場所に立地していることが多いため、教員が入ってくることはあまりありません。そのため個人ロッカーの中にはたいてい役員たちの私物が保管されています。

生徒会費を使えば軽いお茶菓子程度なら購入は可能です。繁忙期は夜遅くまで残ることも多いため、生徒会室にハンバーガーなどが差し入れられる光景もよく見られます。昼休みであっても誰かしらがいることが多く、特に文化祭前はいつ行っても会長が仕事をしています。