そして僕らは恋をする

恋愛作品の創作に役立つ知識をまとめるブログ

公立高校の図書室事情

この記事では公立高校の図書室について説明します。

 

図書室とは

学校図書館法では、すべての小学校、中学校、高校、中等教育学校等は図書館設備を設置しなければならないとしています。公立校においてこの図書館設備に当たるのが図書室です。授業で使用する資料の他、新聞、雑誌、赤本、技術書、ビジネス書、ライトノベル等も含めた文芸書籍、漫画、CD、DVDなど幅広い図書を貯蔵しています。

静謐な空気を持つその特殊性から学園恋愛モノでは好まれやすく、文学少女との出逢いの場、ヒロインとの秘密の逢瀬場所、一冊の本を介した文通劇など、様々なドラマを生み出す舞台としてたびたび登場します。特に小説やシミュレーションゲームでの出現率が非常に高く、逆に漫画だとなぜかあまり登場しません。私立校などでは図書専用の建物を有するところもあり、そういった建物を指して図書館と呼ぶこともあります。

 

開館時間

図書室の開館時間は学校によってかなりばらつきがあります。特に学校司書が常駐しているかどうかによって開館時間は大きく変わります。平日8:00~17:00、10:00~19:00のように長時間開いているところもあれば、16:00には閉まってしまうところ、昼休みと放課後のみ開いているところなど様々です。

休館日も学校によって異なるので自由に設定して大丈夫ですが、日曜・祝日は基本的に休みです。また、その学校内で受験が行われる日(登校禁止日)も休館になります。長期休暇中は特定の日だけ開けることが多いです。
以下に例を示します。

 

平日8:10~17:10(昼休みと放課後は図書委員がカウンター業務、その他時間は司書)

土曜日9:00~16:00(図書委員がカウンター業務)

日曜・祝日休館日

夏季・冬季休業中は補習授業がある日のみ開館日(9:00~16:00)

 

蔵書内容

図書室に保管されている図書は幅広く、新聞、雑誌、受験教材、資格取得教材、技術書、ビジネス書、伝記、古典文学、海外文学、図鑑、新書(ノンフィクション)、絵本、小説、ライトノベル、漫画などがあります。図書室にスライド映写機(プロジェクター)やパソコンが設置されている場合、CDやDVDといった視聴覚資料も保管されていることが多いです。蔵書数は一般的な公立高校の図書室で1.5万冊~3万冊ですが、学校図書館だと10万冊近くあることもあります。

ほとんどの図書室では日本十進分類法に基づいて整理が行われています。詳しいことはネットで検索していただきたいのですが、wikipediaの説明を引用すると、

「自然科学」は「4xx」→「(自然科学の)数学」は「41x」→「幾何学」は「414」

「文学」は「9xx」→「日本文学」は「91x」→「(日本文学の)小説・物語」は「913」

のように、まず大まかな分類を割り当て徐々に細かく分類していく方法です。ほとんどの学校では分類番号913(日本文学の小説・物語)が蔵書の半分以上を占め、借りられるのもこのジャンルが大半です。

 

本の貸出・返却方法

近年は全国の図書室にバーコードリーダーが普及したため、手書きで図書カードに名前を書くのは珍しくなりました。とはいえ、本の裏にある図書カードを見て「あっ、この人この本も借りてるんだ……」というお約束はまだ現役ですので、どちらのやり方も説明しておきます。なお、学校によってやり方に多少差異はあります。

 

バーコードリーダーを使う場合

貸出時

まず利用者は借りたい本をカウンターに置き、学年・組・氏名を告げます。当番はファイリングした全校生徒のバーコード表の中から該当者のバーコードを読み取って、その後本のバーコードを読み取ります。すべて読みこんだら返却日を告げ本を利用者に渡します。

 

返却時

利用者は返却する本をカウンターに置くか返却口に入れます。当番は返却された本のバーコードを読みます。

 

 

図書カードを使う場合はブラウン式とニューアーク式のどちらかが多いです。ブラウン式は借りた人の情報が残らないのがメリットですが、利用者が増えた場合返却作業が少々面倒になります。ニューアーク式は誰が本を借りたかわかってしまうのがデメリットですが、創作ではこれが利点となります。

 

ブラウン式の場合

貸出時

用意するものは利用者個人を特定できる個人カード数枚と本の情報を示した図書カード、そして返却期限を書き込む返却期限表です。

まず利用者は自分の氏名が書かれた個人カードを棚から取出し、個人カードと本をカウンターに置きます。当番は本に添付された返却期限表に返却日を記入(または押印)します。その後、図書カードを抜き取って個人カードとともにクリップで挟み、返却日順に並んだ箱の中に入れます。入れ終わったら返却日を告げ利用者に本を渡します。誰が何冊借りているか把握するため、本一冊につき個人カードは一枚必要になります。

 

返却時

利用者は返却する本をカウンターに置くか返却口に入れます。当番は返却された本のタイトルと返却期限表をたよりにカードを探しあて、図書カードを本のポケットに、個人カードを棚に戻します。

 

ニューアーク式の場合

 貸出時

利用者は自分の氏名などの情報が記された貸出カードを一枚所有します。利用時、本に添付されている図書カードに自分の情報(氏名やID)を書き込み、貸出カードと本をカウンターに出します。当番は貸出カードと図書カードに書かれた名前が一致しているか確認したあと、図書カードと本に添付されている返却期限表に返却日を押印し、図書カードのみ預かり、本を利用者に渡します。

 

返却時

利用者は返却する本をカウンターに置くか返却口に入れます。当番は返却された本のタイトルと返却期限表をたよりに図書カードを探しあて、図書カードを本のポケットに戻します。

 

 

ちなみに、上記のいずれの方法でも利用者自身が過去に何を借りたかを一覧で把握することはできません。そこでニューアーク式をベースに、本のタイトルと返却日を書き込むための個人カードを加えたツーカード式がとられることもあります。借りた冊数に応じて報酬を与えやすいため、小学校でよく用いられます。

 

 

貸出点数

一度に借りられる図書の数は学校によって異なります。
以下に例を示すので参考にしてください。

 

本の貸出は同時に3冊まで。赤本は1冊まで。CDやDVDは一点まで。

本の貸出期限は2週間。予約がなければ2週間延長可(申告は必要)。

赤本やCD、DVDの貸出期限は一週間(延長不可)。

夏季休暇、冬期休暇中は10冊まで貸出。長期休暇終了後2週間以内に返却すること。

 

 

 返却期限を超えた場合

返却期限を超えた場合、まず図書委員会が催促状を生徒に出し、それでも返却されなかった場合は呼び出しをかけます。催促に応じて返却されたときは1ヶ月間貸出禁止、本を紛失したときは同じ本を購入し弁償してもらったうえで1か月間貸出禁止といったように罰則があります。既に絶版し入手が困難である場合は一定額を寄付するのが一般的です。