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敬語の種類

この記事では敬語の種類について説明します。

 

敬語とは

聞き手や話題に上がっている人物に対して、話し手が敬意を示すために用いる言葉遣いを敬語といいます。敬語を使うことで、話し手が場にいる人の上下関係をどのように認識しているかを表現することができます。これは裏を返すと、敬語を使うべき対象にあえて敬語を用いないことによって、「私はあなたに敬意を払うつもりはない」と意思表示することもできます。
学園物であれば敬語を使う場面はほとんどないかもしれませんが、上下関係がはっきりしている異世界の住人が登場する場合は多用することになるため、作者は使い方を熟知しておく必要があります。

 

敬語の種類

文化審議会答申「 敬語の指針 」によると、敬語は次の5種類に大別できます。

  • 尊敬語 「いらっしゃる・おっしゃる」型
  • 謙譲語 「伺う・申し上げる」型
  • 丁重語 「参る・申す」型
  • 丁寧語 「です・ます」型
  • 美化語 「お酒・お料理」型

 

尊敬語

例)いらっしゃる、おっしゃる、なさる、召し上がる、お導き、お名前、ご住所、お忙しい

動作や状態の主体となる人を立てる言い方を尊敬語といいます。「立てる」とは、相手を自分より高位に置くという意味です。
たとえば「姫様はそうおっしゃったんですね」は尊敬語です。このセリフは「言う」の行為者である姫を立てているわけですが、

  • 姫(相手)に対して直接述べる場合
  • 姫の家族など(相手側)に述べる場合
  • その他の人(第三者)に述べる場合

のいずれの場合でも使えます。(謙譲語も同様です)

尊敬語は動詞を言い換えるだけではなく、「お名前」や「お元気」のように、相手の所有物や状態を丁寧にした言葉も含まれます。

 

謙譲語

例)伺う、申し上げる、お目にかかる、差し上げる、ご案内する、(立てるべき人物への)お手紙、ご説明

自分側から相手側に向かう行為・ものごとについて、相手側を立てる言い方を謙譲語といいます。たとえば「明日師匠のところに伺います」は、伺う先である師匠を立てる謙譲語です。このセリフの主語は自分側の人物であれば誰でもよく、

  • 明日(私が)師匠のところに伺います。
  • 明日(私の息子が)師匠のところに伺います。

のどちらの場合でも使うことができます。一方で、「明日息子のところに伺います」だと、立てる相手が息子になってしまうので不自然です。この場合は「明日息子のところに行きます」が適切です。

謙譲語は行為の向かう先を立てると同時に行為者を下げるので、基本的には相手側や第三者が主語の時は使えません。しかし、話し手と聞き手の中で「行為の向かう先が敬意を表するべき相手で、行為者を立てなくとも失礼に当たらない」という意思疎通ができていれば、「あなたは先生のところに伺ったそうですね」と言うこともできます。

 

丁重語

例)参る、申す、存じる、いたす、おる

自分側の行為・ものごとについて、自分側を下げることで聞き手を立てる言い方を丁重語といいます。謙譲語との大きな違いは、行為の向かう先を高めているか、それとも聞き手を高めているかという点です。謙譲語で挙げた例でいうと

  • 「明日師匠のところに伺います」
  • 「明日師匠のところに参ります」

は同じ意味ですが、前者は師匠を立てているのに対して、後者は聞き手を立てています。ということは、「明日息子のところに参ります」というセリフも、息子を高めているわけではないので不自然ではありません。

丁重語も謙譲語と同様、主体が敬意を表すべき人や物ではないと判断できれば、「使者が参りました」「夜も更けて参りました」のように使うこともできます。

 

丁寧語

例)です、ます、ございます

文末に「です」「ます」をつけることで聞き手を立てる言い方を丁寧語といいます。聞き手を立てるという点は丁重語と同じですが、丁寧語はあらゆる文章を丁寧な印象に変えることができるので、丁重語よりも使い易いです。

 

美化語

例)お酒、ご飯、お掃除、お電話、ごゆっくり、ごもっとも

「お酒」や「ご飯」のように、名詞に「お」や「ご」をつけて丁寧にした言葉を美化語といいます。尊敬語や謙譲語の「お手紙」「ご説明」との違いは、これらは手紙を書いた人や説明を聞く人を立てるという意図があるのに対して、美化語はただ言葉を上品にするだけの目的で使われる点です。

事故や解雇などの悪い意味を持つ単語や、外来語にはつけないので注意しましょう。