そして僕らは恋をする

恋愛作品の創作に役立つ知識をまとめるブログ

男主人公がヒロインを好きになる理由

キャラクターが恋愛感情を抱くまでの過程を描くのは難しいものです。

人の感情は理屈では動きませんが、創作においては感情の発生に理屈を求められることが、難しいと感じるひとつの要因なのかもしれません。 

一人称視点におけるヒロインのように、内面の動きを読者の想像にゆだねることができる場合は、主人公に対する反応だけ描けば読者が勝手に補完してくれるため、比較的簡単に好意を持たせることができます。

しかし主人公の内面を描写する場合は、なぜ複数いる魅力的なヒロインの中からメインヒロインを選んだのか? を示す必要があり、難易度は一気に上昇します。そのためでしょうか。人気を博した商業作品であっても、「主人公がメインヒロインを選んだ理由がわからない」「いつ好きになったのかわからない」といった評価はしばしば見受けられます。

そこで今回は、男性主人公がヒロインを好きになる理由としてよく挙げられるものをいくつかご紹介します。

  

容姿に惚れた

男性は外見のみで異性を評価する傾向が強く、たとえ性格が悪くても、美人であれば好意を持つことが多々あります。また胸が大きい女性に対しても評価はかなり甘くなります。したがって、会話したこともない美少女に恋をしてしまう、いわゆる一目ぼれは女性よりも男性の方が圧倒的に多いです。

しかし、主人公がヒロインに惚れた理由が外面だけだと、説得力はあっても読者の印象はあまりよくありません。理由のひとつとして挙げるのは構いませんが、恋するきっかけにはしづらいのが正直なところです。

 

守ってあげたい

「そばにいて守ってあげたい」「自分が付いていないと心配」といった庇護欲をそそられる女性には、男性は好意を持ちやすくなります。不器用ながらも一生懸命な女性や、ひとりで周囲と戦っている女性に対して感じる男性の本能的欲求です。小柄な容姿であったり、小動物的なしぐさの女性にも庇護欲は生じます。逆に、ひとりで何でもできてしまう女性には、自分は必要ではないのでは? と感じて引いてしまうこともあります。

 

居心地がいい

一緒にいて気楽、素のままの自分を受け入れてくれる相手には、男女問わず好意を持ちやすくなります。もちろん相手の内面も受け入れなければならないので、強い信頼関係が築けていないとこの感情は起こりません。この居心地の良さが、「告白によってこの関係を壊したくない」という葛藤に繋がることもしばしば。恋愛作品であれば恋心を自覚するためのイベントが必要になるでしょう。

 

独占したい

誰にでも分け隔てなく接してくれる相手に対して、自分にだけ目を向けてほしいという嫉妬から恋愛感情を抱くことは珍しくありません。しかし独占欲は相手のことを考えていない利己的な欲求なので、主人公として健全かと言われると微妙なところです。むしろ恋敵役の動機として使われることの方が多いかもしれません。

 

憧れが転じて

人として尊敬できる人、自分の理想とする人に対しての憧れが転じて恋に落ちることもあります。恋愛作品では、自分と対照的な相手を好きになることが多いようです。
現実だと、恋愛と憧憬は別物として認識されることが多いですが、創作でも円満に結ばれることは少ないようです。ただし、理想像を押し付けてしまったことを反省し、相手の内面を見るようになれば、両想いになる確率はぐんと上がります。

 

支えてくれた

自分が苦しいときや、諦めようと思っていたときに支えてくれた女性には、男性は好意を抱きやすくなります。具体的になにかをしなくとも、ただ寄り添うだけでも十分に効果があります。一歩間違えれば依存になってしまいますが、ヒロインの株も上げつつ説得力を持たせることができるので、少女漫画などでよく使用されます。

 

救われた

救助されるのとはちょっと意味合いが違います。何かが原因で自己否定に陥っていたとき、自分の存在を認めてくれたり、自分の価値観をひっくり返してくれた相手には好意を持ちやすくなります。こちらは支えるのとは違い、男性の近くにいる必要はありません。何気なくした言動が気づかぬうちに誰かの救いになっていたというパターンが多いですね。

 

特別感

ヒロインが主人公の前でだけ本心を吐露してくれたり、主人公にだけ優しさを見せてくれるようになると、その特別感から好意を持ちやすくなります。この特別感は読者にも自然と波及するため、八方美人なヒロインが主人公の前でだけ黒い本性をさらけ出すというシチュエーションそのものが、作品における一つの魅力になることもあります。

とはいえ、素で語り合う中から恋愛関係へと発展するためには、やはりなんらかの自覚イベントを経る必要があるでしょう。

 

欲求を満たしてくれる

自分の欲求を満たしてくれる相手にも人は惚れやすくなる傾向があります。欲求とはつまり、性欲や性癖、お金、社会的ステータスなどの即物的なことです。成人指定の同人誌で、性行為中の男性が突然好きだと言い出すのもそういうことでしょう。読者からの評価は芳しくないと思いますが、キャラづけとして使う分にはおもしろいかもしれません。