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養子と実子は結婚できるの?

この記事では養子縁組にまつわる知識について説明します。

 

養子縁組とは?

血の繋がらない者同士が法律上の親子関係を結ぶことを養子縁組といいます。養子縁組が成立すると、両者は養親と養子とみなされます。養子は実子と同等の権利を有するため、親が亡くなったときは実子と均等に遺産を受け取ることができます。また、養親と養子は互いに互いを扶養する義務を負います。
ちなみに、養親は一人のみという規定はないため、複数人の養親を持つことも可能です。

恋愛作品でこのワードが出てくるとき、特に主人公やメインヒロインが養子である場合には、この設定がストーリーの核に大きくかかわることが多く、後半がシリアスな展開になりがちです。

 

養子縁組の種類

養子縁組は次の2種類に大別できます。

 

普通養子縁組

実親との親子関係は継続したまま、二重で親子関係になる縁組を指します。たとえば結婚相手に子供がいた場合や、未成年の実父母が亡くなった場合、家業を継ぐために婿入りした場合などが挙げられます。戸籍上は「養子」と記載されます。

普通養子縁組の場合は、養子が15歳以上かつ両者の合意があれば、実父母の意思と関係なく縁組ができます。養子が15歳未満である場合は、法定代理人(基本的には実父母)による許可がなければ縁組することはできません。

なお、結婚相手に子供がいた場合についてですが、結婚はするが養子縁組はしないという選択も可能です。このとき子供との関係は姻族(結婚によってできた親戚)となります。

 

特別養子縁組

貧困や捨て子など、実親による養育が期待できない場合に、養親が実の親として子供を引き取るための制度です。戸籍上は「長男」など実子と同じ記載がされます。

6歳未満の児童が対象で、家庭裁判所の許可がないと縁組することができません。特別養子縁組をすると実父母との親子関係は消滅するため、原則実父母の許可も必要ですが、著しく家庭環境が悪い場合は同意は不要になります。もし養親が亡くなったとしても実父母との親子関係は復活しません。

 

養親の年齢制限

普通養子縁組の場合は、養親が20歳以上かつ養子より年上であれば誰でも養子をとることができます。独身であっても養子縁組は可能です。ちなみに、結婚している夫婦であれば20歳未満でも成人としてみなされるため、審査は厳しくなりますが養親になることが可能です。

ただし、未成年者を養子にとる場合は、家庭裁判所の許可が必要になります。実親が亡くなり、親戚の子供を引き取ることになったケースであれば独身者が養親になることもできますが、赤の他人の子供を引き取り里親となる場合は非常に審査が厳しくなります。実際のところ、独身者が里親になることはできないと思った方がよさそうです。

特別養子縁組の場合は、養親はどちらかが25歳以上の夫婦(もう一方は20歳以上)かつ夫婦ともに養親となる場合に限られます。これは十分な環境で実子として育てさせるという目的が前提にあるためです。

 

養子縁組するメリットとデメリット

養子縁組することによる利点と欠点を以下に記します。

 

苗字について

養子になると原則一番最後に契約した養親の姓を名乗らなければなりません。したがって、現在の名前に思い入れがある場合や、社会生活上不都合がある場合は、養子側が養子縁組を断る理由になりえます。
養子が既婚の男性の場合、配偶者も同時に養親の姓を名乗ることになります。逆に養子が既婚の女性だった場合は、縁組しても夫と同じ姓を名乗らなければならないので、苗字が変わることはありません。また養子の子供は親が養子縁組しても苗字は変わりません。両親と同じ姓に変えるには入籍届を提出する必要があります。

 

相続について

養子は法律上実子と同じ扱いを受けるので、養子が財産分割で不利になることはありません。ただし、養子縁組を組む前から養子に子供がいた場合、養親(義祖父母)と養子の子供(義孫)の間には血縁関係はないものとして扱われます。したがって、養親が亡くなる前に養子が亡くなってしまうと、養子の子供は財産を代襲相続することができません。養子縁組を組んだあとにできた養子の子供には代襲相続させることができます。

 

養育費について

新しい夫と連れ子が養子縁組をした場合、扶養義務は新しい夫に移るので、元夫からの養育費の減額請求が認められます。元夫が養育費の支払いに否定的だと、再婚と養子縁組を理由に養育費の支払いを打ち切られてしまう可能性があります。(養育するだけの十分な資金がない場合は補助的に養育費を求めることは可能です)

 

扶養義務について

扶養義務とは、自力で生活を維持することが難しい人を援助する義務のことです。養子になると実父母と養親の両方に対して扶養義務が生じるため、入院や介護が必要となった場合に多くの資金と労働力を払う必要が出てきます。また、再婚相手が急死してしまったときは、再婚相手の子供を養育する義務が生じます。特に養親側の事情で養子縁組を破棄することは困難になります。

扶養義務を放棄しても罰則はありませんが、被扶養者が扶養に必要な費用を民事請求することは可能です。

 

養子と実子は結婚できる?

結論から言うと結婚できます。

日本の法律では、血の繋がりが強い者同士の近親婚を禁じています。ですから血縁関係のある兄妹が結婚することはできませんが、法律上の血族である養子と実子は血の繋がりはないので結婚が可能です。一方で、養親と養子が結婚することはできません。これは養子縁組を解いても持続するため、縁組をした時点で養親と養子は一生結婚できなくなります。

また、特別養子縁組をすると実父母との親子関係が消滅すると書きましたが、だからといって実父母や実父母の子供と結婚することはできません。これについては、血の繋がりが強いからということで理解しやすいかと思います。