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旧家と名家の違い、名家のしきたりの元ネタ

この記事では旧家と名家の意味、そして名家のしきたりにまつわる知識について説明します。

 

旧家と名家のニュアンスの違い

旧家、名家という言葉は、鎌倉時代以降の公家(朝廷に仕える貴族)の家格を表すのに使われていたこともありますが、今回これについては触れません。「あの家は数百年以上続く旧家だ」「地元で一番の名家だ」といった使われ方をする場合の意味について説明します。

 

辞書的にはどちらも同じ意味

実のところ、旧家と名家という言葉の定義はかなり曖昧です。辞書で調べると「代々続く由緒ある家柄」と書いてあるのみで、明確に使い分けられてはいません。したがって、ある家に対して「あの家は旧家だ」と思う人もいれば、「あの家は名家だ」と思う人もいます。

しかしながら、この二つの言葉の使用傾向に着目すると、微妙なニュアンスの違いを持って言葉が使い分けられているのが見て取れます。

 

地方で代々同じ土地に住み続けている家柄が旧家

旧家という言葉は、特定の地域に代々住み続け、その土地での社会的地位を維持してきた家に対して使われることが多いようです。特に地主として周辺の土地を領有していた家を指すことが多く、一方で寺院や神社に対してはあまり使われません。

ただし、あまり使われないというだけで、神社や武家の名門を指して旧家と呼んだり、その土地で成功をおさめた商人の家を指して使われることもあるので、 地域に土着してさえいれば旧家と呼んでも問題ないように思います。

 

長く名声を維持している家柄が名家

名家の場合は、単純に長い期間社会的地位を維持し続けている家を指して使われることが多いようです。旧家との大きな違いは、時代と共に住む場所を変えた家柄に対しても使えるという点です。ですから、財閥のお嬢様などは名家の出と呼ばれることが多いです。(財閥の家は事業の発展と共に都市部に拠点を移すことが多いため)

現在も地位を維持できている家に対して使う分には問題ありませんが、ほとんど一般家庭と変わらなくなってしまった家については、居住者が「うちは名家だ」と思っていても、周囲はそう思っていない場合がしばしばあります。このような家は名家よりも良家と呼ぶ方が適切かもしれません。

 

名家のしきたりは何が元ネタになっているのか

現実でもそうなのかはわかりませんが、創作に出てくるお金持ちの家は様々なしきたりやしがらみがあるものとして描かれることが多いです。たとえば、親が勝手に許婚を決めたり、女子を男子として育てる展開はよく見かけますよね。

これらのしきたりは、以前の日本に存在した家父長制度をベースにしていることがほとんどです。

 

家父長制度とは

家父長制度は、家長権をもったひとりの男性が家族や家財に対して絶対的支配権を持つという制度です。具体的にどんな権限を持つのかというと、

  • 家長の許可なく家の資産を使用、譲渡、処分できない
  • 家長の許可なく家産の負担となる契約を締結できない
  • 家長が許可した相手以外と結婚できない
  • 家長が許可しなければ養子や私生児を入籍させることができない
  • 家長は家族を籍から外すことができる
  • 家長は家族の住む場所を決めることができる
  • 家長は家族の仕事を決めることができる

などがありました。これは日本に限った話ではなく、世界中でありふれた話で、たとえば古代ローマでは家族を売却したり殺害する権利もあったことで有名です。通常、家長権は家長(戸主・当主・当代)が亡くなると、長男へと継承されるものでした。

現在でも「父が一家の代表」「家は長男が継ぐもの」という価値観が地方で強く残っているのは、家父長制を経験した祖父母世代がまだまだ多いためです。特に旧家や名家のような伝統を重んじる家ではその傾向も顕著でしょう。

こういった理由から、上記で述べたような「子供の結婚相手を親が勝手に決める」「嫁は男子を生まなければならない」「男子が生まれなければ女子を男子として育てる」といった描写へと派生したものと思われます。