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公立高校の保健室事情

この記事では高校の保健室について説明します。

 

保健室とは

保健室はすべての学校に設置されている保健設備です。生徒や職員の健康診断、健康相談、保健指導、応急処置などを行うための部屋を指し、学校保健安全法に沿って運営されています。あくまで応急処置をする設備なので、軽いけがの消毒、止血や、体調の悪い生徒を一時的に寝かせることはできますが、診断や治療に当たる行為を行うことはできません。頭痛薬や胃腸薬などの市販薬を与えることもたいてい禁止されています。

ほとんどの学校では、保健室の先生と呼ばれる養護教諭が常駐しています。養護教諭は小中学校には必ずひとり置くことが義務づけられており、一方高校だと配置は任意です。そのため、高校に限っては保健室の先生がいないケースもちらほら見かけます。

学校生活で悩みを抱えた生徒の避難所でもある保健室ですが、保健室登校に比較的寛容な小中学校に比べると、高校の保健室事情は少しシビアといえそうです。

 

保健室の開室時間

保健室の開室時間は学校によって異なります。

養護教諭がいる学校の場合、養護教諭が常駐している間は保健室を利用できます。養護教諭の勤務時間は平日の8:00~17:00あたりなので、この時間帯であればいつでも利用できると考えていいでしょう。

実際は、17時以降も部活で怪我をする生徒がいるかもしれないので、最終下校時刻である19時ごろまでは開けているところが多いです。週末や祝日も、やはり生徒が部活をしている間はたいてい開いています。養護教諭が出張等でいないときは、職員室で手当てをすることが多いです。

養護教諭がいない学校だと保健室は基本的に閉まっています。この場合、保健室を利用するには教員の許可をもらったのち、教員または保健委員会に鍵を開けてもらう必要があります。

 

保健室の主な役割

保健室の主な活動を以下に示します。養護教諭がいる保健室の場合、保健室に来る生徒の数は一日10~40人くらいです。

 

軽いけがの手当て

登下校中、および学校内で怪我をした人に対して、消毒や止血といった手当てを行います。具体的には、流水で洗い流したあとタオルやガーゼ等で圧迫し、血が止まったら消毒を行ったのち絆創膏やガーゼでその部位を保護します。捻挫の場合は、まず氷水をあてて炎症を抑え、骨折の恐れもあるので該当箇所をテーピングや添え木等で固定し、保護者に連絡を取って医療機関を受診させます。

生徒を病院に連れていくことになった場合、保護者を呼んで付き添ってもらうところがほとんどですが、保護者に連絡がつかないときは学校関係者が連れていくことになります。

ここで注意しなければならないのは、保健室を利用できるのは「けがをした当日のみ」であるという点です。手当てをしたあとの経過観察も基本的に行いません。しかし、家庭で怪我をした生徒が、医療費を渋って翌日保健室にくるケースがあり、たびたび問題になっています。

 

一時的な休息

具合の悪い生徒をベッドで寝かせます。

創作だと寝不足の生徒が勝手に寝ていたりしますが、実際の高校では寝不足でベッドを利用させることはまずありません。生徒が保健室に来た際、養護教諭がまず症状を聞き、このとき症状が軽そうなら授業復帰を勧めます。腹痛や頭痛など、時間が経てば症状が緩和しそうな場合は、一時間のみベッドを貸し出します。それでも具合がよくならなければ、担任と保護者に連絡し早退させます。

小中学校だと、保護者に連絡がつかなければ一日寝させることもあります。高校の場合は、保護者に連絡がつかなくとも担任が送るなどして帰宅させることが多いようです。

ちなみに、具合の悪い生徒に対して内服薬を与えることはできません。これは薬物アレルギーや副作用による事故を防止するためです。

 

カウンセリング

養護教諭、または専門のカウンセラーが生徒の悩みを聞き、カウンセリングを行います。カウンセラーを呼ぶ場合は、月曜日と木曜日の12:00~17:00といったように、相談できる時間帯が決まっています。養護教諭が聞く場合はいつでもOKですが、他の生徒の手当てもあるので、しばらく待たされることもあります。

カウンセリングを行うときは、ベッドで休んでいる生徒にも聞こえないように、隣接している準備室などで話をします。

 

保健室登校について 

対人関係やストレスなどが原因で、教室に行くことができない生徒が保健室や別室にくることを保健室登校(別室登校)といいます。9割の小中学校にみられる保健室登校ですが、高校でも授業を受けることができない生徒は各校に数名みられます。

高校現場では授業に出ないことを欠課、学校にこないことを欠席といいます。学校にもよりますが、保健室登校している生徒は出席扱いにはなるものの、欠課と判断されるところがほとんどです。欠課が一定数を超えると単位がもらえず、留年することになります。

保健室登校の生徒に対して救済措置を与えるかどうかは、学校によってかなり差があります。本人や保護者からの希望があり、職員会議を経て校長が許可すれば、保健室登校をしている生徒にも単位を与えることはあります。……が、かなり稀なケースでしょう。この場合、各教科の教員が指示した課題をこなすという条件はつきます。救済措置を特に取らない場合、留年が確定しかけた段階で転校や退学を勧めることになります。

保健室登校している生徒が何をしているのかというと、だいたい自習をしています。養護教諭は報告書などの事務仕事があるので、基本的に生徒を自由にさせて仕事をしています。副担任がいる学校であれば、彼らが個人授業を行うこともありますが、特になにもしないところが大半だと思われます。