この記事では、他人と同居する際に行わなければならない手続きについて説明します。
無理やりヒロインを住まわせるのは誘拐や監禁にあたるので、当事者同士は同居に合意しているという前提で話を進めます。他人と同居するための手続きを考えるとき、気をつけなければならないことは「同居人は未成年か?」「住む家は持家か賃貸か?」の二つです。
同居人が未成年のときは親の許可がいる
住まわせてもらう側が20歳以上なら特に問題ないのですが、未成年だった場合は、気をつけないと住まわせた側が誘拐犯として逮捕される可能性があります。
民法第821条によると、親権者は未成年者の住む場所を指定できる権利を持ちます。たとえ本人が泊めてほしいと言ってきたとしても、その子の親と連絡を取り、許可を貰わなければ、未成年者略取及び誘拐罪という犯罪になってしまうかもしれません。家出少女が親の連絡先を教えない場合は、警察に届け出るのが適切な対応です。
とはいえ、家出少女をかくまうストーリーが数多あることからもわかるとおり、抜け道がないわけではありません。
どうするのかというと、誘拐罪が親告罪であるという点を利用します。つまり、未成年者の親がなんらかの理由で被害届や捜索願を出さなかったという状況をつくれば、警察に掴まることは基本的にありません。
わざわざ「基本的に」とつけた理由は、お察しのとおり被害届がなくても逮捕される場合があるからです。たとえば、その地域の青少年保護育成条例で「未成年を親の許諾なく自身の監視下におくことを禁止する」という規定があれば、近所の人が通報すると逮捕されてしまいます。具体的な地名を出すときは気をつけましょう。
ちなみに、これらの犯罪は未成年者が未成年者を泊めた場合でも成り立ちます。ただし、捕まったあと提訴されるか補導で済むかは場合によります。高校生同士が駆け落ちしても注意されるだけかもしれませんが、大学生が小学生と駆け落ちしたら刑事罰を受けることになるでしょう。
まあ、ストーリーに関係がないのでその辺りは無視するというのも一つの手ですね。
同居するときは家主の許可もいる
家主とはその家を所有している人です。持家ならおそらく父、賃貸なら大家や管理会社がそれにあたります。
同居する場所が持家だったときの手続き
同居する場所が主人公一家の持家なら話は簡単です。
父親の許可さえあればその日から同居することができます。
同居人は引っ越したあと、14日以内に住民票を変更する必要があります。住民票を変更する際、引っ越し先が同じ市町村内であれば転居届、違う地域なら転出・転入届を役所に出して住民票を変更します。このあたりは普通の引っ越しと同じですね。
持家の場合は、家主の許可を得ずに同居していても、家庭内でもめることはあるにせよ、あまり問題にはなりません。ただし、同居人が未成年である場合は、前述した理由で家主が逮捕される可能性があるので注意してください。
同居する場所が賃貸だった時の手続き
同居する場所が賃貸の場合、大家がその物件の所有者にあたります。
同居人を増やしたいときはただちに大家に連絡をとり、同居の旨を伝えて許可をもらいます。
大家からすれば、住人からの同居させてほしいという申し出は、あまり歓迎できるものではありません。人数が増えればそれだけ部屋の消耗が早くなるため、最初にもらった敷金だけでは修繕費を賄えなくなる恐れがありますし、口論などが原因で近隣の住人から苦情がくる可能性だってあります。
家賃を折半してルームシェアする場合、喧嘩別れしてしまったら、残った側も家賃を払えなくなって突然退去してしまうかもしれません。
このような事情から、大家が同居を許可しないことも多々あります。たとえ許可が出た場合でも、もう一人分の敷金か家賃を催促することも珍しくありません。ただし、婚約している男女が同棲する場合や、親戚の子供を預かる場合などは比較的大目に見られる傾向があるようです。
一般的には、単身用マンションや女性・学生専用マンションは同居不可としているところが多いです。詳しいことは契約時の賃貸借契約書に明記されています。
大家に連絡せずに同居すると
大家に連絡しないまま同居をしていると、最悪の場合、同居人が生活していた分の家賃をまとめて請求されたり、突然退去通告を受ける可能性があります。同居していてもそうそうバレることはないだろうと思いがちですが、案外大家は同居人の存在を知っていることが多いです。
大家にバレるルートとしては、
- 近所の人からの連絡(特に騒音が理由で)
- 大家に何度も目撃される、防犯カメラに何度も映っている
- 名義が住人と違う郵便物が届く
などがよくありますね。
入居当日になって二重契約が発覚! は実在するか
無事部屋の契約を終え、入居当日。段ボール箱から食器を取り出していると、部屋の扉ががちゃりと開いた。見れば見知らぬ少女が立っている。
「えっと、どちらさまですか?」
「今日からこの部屋に引っ越してきた者ですけど……」
「……え?」話を聞くと、彼女も今日この部屋に引っ越してきたらしい。いったいどうなってるんだ?
同居系恋愛モノでたまーに見かけるこの展開。
現実でもそんなことってあるの? と疑問に思ったことはないでしょうか。
実はこれ、非常にまれですが現実でも起こり得ます。
通常、マンションの所有者(オーナー)は不動産屋を通じて居住者を募集します。このとき、オーナーが複数の不動産屋に依頼をすると、それぞれの不動産屋は別々の候補者を探してくることになります。
たいていの場合、複数の候補者からの申し込みがあったときは、先着順で入居者が決まります。しかし、「Aさんと契約したことを忘れてBさんとも契約してしまった」「Aさんと契約したが、Bさんの方が条件がよかったので、Aさんを断る前提でBさんとも契約した」場合は、二重で契約している状況が生まれます。
このときオーナーが断りの連絡を入れるのを忘れると、入居当日になってばったり! というシチュエーションが起こるわけです。とはいえ、ふつうは入居手続きをしている段階で管理会社が気づくので、申し込み日から入居日までが短すぎたなどの理由をつけた方が賢明かもしれません。