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高校教師の仕事内容、一日の流れ

この記事では、高校の先生が普段学校で何をしているかについて説明します。

 

「教師」「教諭」「講師」「教員」の違い

高校教師の仕事について説明する前に、上記の単語の意味について説明しておきます。特に教諭と講師の違いは覚えておくことをおすすめします。

まず「教師」は、学業や技能を教える人のことです。学校の内外問わず、教え導く立場にある人に対して使うことができます。先生のかしこまった言い方といえばわかりやすいかもしれませんね。

次に「教諭」は、学校に正規で雇われている教員免許取得者を指します。公立であれば各自治体が毎年行っている教員採用試験に、私立であれば学校ごとに行っている採用試験に合格すれば、教諭になることができます。

続いて「講師」ですが、こちらは教諭と違って一年契約の臨時雇用です。育児休暇中の先生の代理だと数カ月だけ勤務することもあります。教諭と同じ仕事を任される常勤講師と特定の授業だけ行う非常勤講師がおり、一見しただけでは教諭か常勤講師かの判別はできません。講師はあまり担任業務や引率を担当しませんが、生徒数に対して教諭が少なすぎるときはクラスを受け持つこともあります。

「教員」は教諭と講師の両方に使えます。生徒に教える立場ではない事務員や用務員は職員といいます。教職員という場合は、学校に従事しているすべての人を指します。

 

公立教師の勤務時間

教員の勤務時間は、学校にもよりますが、民間企業と同じく8:30~17:00程度です。しかし、実際はこの時間だけ勤務している人はほとんどおらず、個人差もありますがだいたい7:30~20:00くらいまで仕事をしています。そして公立高校の場合、この残業に対して残業代が出ることは原則ありません。

なぜ残業代が出ないのかというと、教員は給特法という法律によって、基本的に残業をしていないことになっているからです。……もう少し正確にいえば、「残業代や休日勤務手当を支給しない代わりに、給与の4%に相当する教職調整手当をつける」というのが給特法の内容です。ただ、この4%という数字は1970年代のデータを基にしており、80時間以上残業することもある現代の教員の労働に見合っていないという指摘もあります。

教員は土日祝は基本的に休みですが、自分の仕事がある場合は出勤します。そのため部活の顧問をしていると必然的に出勤することになります。夏休みや冬休みなどの長期休暇中も、盆休みや正月休みの数日を除き、仕事をしています。ただし、授業がないため、平日に比べると残業は少なくなります。

任される仕事が多いほど仕事時間が伸びるので、極端な話、生徒とのかかわりを極力減らし、面倒な仕事を断れば残業も休日出勤もしなくて済みます。それもあってか、運動部や吹奏楽部などの顧問になりたがる先生はあまりいません。ベテランの先生がそろって断るような仕事は若手の先生に回ってきがちです。

 

 公立教師の一日の流れ

教師の仕事はかなり自由度が高く、職朝(職員朝会)と授業以外の時間は、自分の進めたい順番で仕事をすることができます。教師の主な仕事は、教科指導、部活指導、学級担任、校務分掌の4つです。 校務分掌とは学校運営に関する仕事のことです。

詳しい仕事の内容は別記事に回して、ここでは先生の一日のスケジュールを説明します。

 

まず、先生は始業のおよそ一時間前に出勤すると、朝のうちにやっておきたい仕事に取り組みます。担当している部活の朝練を見に行ったり、前日残した事務仕事の続きをしたり、授業の準備をしていることが多いです。暇な人はコーヒーを飲みつつ新聞を読んでいることも……。8時を過ぎると生徒の欠席連絡がくるので電話対応も行います。

 

職員朝会は毎日始業時に職員室で行われます。教職員が集まってその日の連絡事項を伝えあい、急を要する議題があればその場で会議をします。このとき会議が長引くと、学級担任は急ぎ足で教室に向かうことになります。

ホームルームでは職員朝会で聞いた連絡事項を生徒に伝え、また生徒の様子を観察しつつ、出席をとります。連絡のない欠席者がいる場合は生徒に電話し、現在の状況を確認します。全員の出席状況を確認できたらとりあえずの朝の仕事は終了です。

 

職員室に一旦戻った後は、授業の準備をしてすぐに教室に向かいます。授業は一日3コマから5コマ程度担当し、授業がない時間は事務仕事や校務分掌、教材研究に取り組みます。他の教職員はどの先生がいつ授業がないのか把握しているので、授業がない時間を狙って会議や業者との打ち合わせをセッティングされることも多々あります。授業が連続すると先生の休憩時間はほとんどありません。

 

昼休みになると生徒は昼食を食べますが、教師は生徒からの相談や保護者からの電話対応に追われます。そのため授業がないときに食べておく先生や、授業準備室にこもって昼食をとる先生もいます。外食に行くことはなく、たいてい出前か弁当です。

 

放課後になると、部活を担当している先生は指導をします。特に運動部や吹奏楽部は7時頃まで部活をしているため、これが終わるまでは自分の仕事に取り組むことはできません。

また放課後は月に1,2度ある職員会議の他に、学年会議、校務分掌の会議などが入るので、多いところでは週に1度のペースで会議に出席します。来客があれば面談し、担当する生徒活動(委員会活動など)があれば監督を務めます。

 

それらの仕事が終わると続いて事務仕事を行います。進路希望調査票のデータをパソコンに打ち込んだり、教育委員会に提出する書類を作成したり、生徒の答案を採点したり、生徒に配布するプリントを作成したりします。小テストが多いと生徒はうんざりしますが、実は出している先生本人も生徒全員分の点数を毎回転記しなければならないので地味に面倒くさいと思っています。事務仕事が終わったら翌日の授業の準備をしてから家に帰ります。

 

急ぎの仕事がないときは自分の担当する科目について勉強します。勉強といっても問題の解き方を覚えるわけではありません。学習指導要領を熟読し、様々な業者のテキストを見比べながら、授業を通して生徒に何を身につけさせたいのか、それを実現するためにはどのような構成で授業を展開するべきなのか、などを考えます。この教材研究を繰り返しながら、先生はそれぞれ自分の授業スタイルを確立していきます。

 

年に数回、他の先生の授業を見て先生同士で議論を交わす研究授業(公開授業)というものがあり、この研修で公開する側になると、通常業務と並行して公開授業の準備を行います。少しでも手を抜こうものならベテランからの指摘をたんまり受けることになるので、研究授業が終わるまでは気を抜けない日々が続きます。

 

 長期休暇中の仕事内容

夏休みや冬休みの間も教師は基本的に出勤しています。

長期休暇中は授業はありませんが、2,3年生に向けた講習があるので、一日2コマ程度は授業をしています。また、中学生対象のオープンキャンパスや、文化祭の準備を生徒ともに行います。もちろん部活がある先生は部活指導も行います。

余った時間は普段できない仕事、たとえば過去の書類の整理や、情報処理教室のパソコンのメンテナンスなどをしています。研修で他校に行くことも多いですね。 

授業や部活動がなければ休んでも問題ないので、長期休暇中にたまった有休をまとめて消化する先生もちらほら見かけます。